八坂神社の絵馬
写真の6枚の絵馬は八坂神社の絵馬の一例で、他にも美しい絵馬が何種類も揃っています。
上の絵馬は八坂神社の大晦日の夜から元旦にかけての年越しの行事としてよく知られている「をけら詣り」が描かれています。
をけら詣りの「をけら」は健胃の漢方薬に用いられるキク科の薬草の「オケラ」です。この「オケラ」を燃やす際に出る臭気が疫病除けに効果があると信じられ、これが「をけら詣り」の始まりと伝えられます。
「をけら灯籠」には檜(ひのき)の削りかけと乾燥した「をけら」が混ぜられていて、除夜祭が終わった後に本殿の浄火で点火されます。
「をけら詣り」に訪れた参拝者は境内で購入した「吉兆縄」に「をけら灯籠」で火を点け、火が消えないようにぐるぐる回しながら家路を急ぎます。昔はこの日に限り火をつけた縄を持って市電に乗れたこともありました。
元旦の大福茶や雑煮をこの火で沸かすと無病息災の一年になると信仰されています。
2番目の大きな絵馬は祇園祭の山鉾巡行の絵が描かれています。
この絵では船鉾が2番目を巡航していますが、実際には船鉾は7月17日の前祭の最後尾、大船鉾は7月24日の後祭の最後尾を飾るように巡行します。
この絵では山鉾が鴨川と思われる橋を渡っていますが、実際の山鉾巡行では橋は渡りません。八坂神社の山鉾庫に保存されている山は鉾建の前に鴨川の橋を渡って各山鉾町に移されますが、巡行ではありません。
上から3番目の絵馬に「蘇民将来之子孫也」と書かれたお札がついた粽(ちまき)が描かれています。この粽は祇園祭の宵山で厄除けのお守りとして授与されるものです。
「蘇民将来(そみんしょうらい)」は八坂神社の西楼門から東へ真っ直ぐに進んだところに祀られている「疫神社」のご祭神です。牛頭天王が蘇民一家に「蘇民将来の子孫」といって茅の輪をつければ疫病から逃れられると言ったことに由来します。
7月1日から1ケ月に渡って催行される祇園祭の最後の神事が7月31日の「夏越祭(なごしさい)」で、この疫神社で「茅の輪くぐり」が行われます。
一番下の大きな絵馬は平成19年(2007)11月30日に完成した西楼門の修復工事完成を記念して作られた絵馬です。四条通の東端に建つ八坂神社の西楼門は国の重要文化財に指定されています。
境内末社の美御前社、蛭子社、大国主社はそれぞれの御神徳や物語をモチーフにしたきれいな絵馬が授与されます。
願い事を書いて絵馬掛けに掛ければきっと願いが叶えられることでしょう。
八坂神社へのバスと電車
●市バス「祇園」下車徒歩すぐ
●京阪電車「祇園四条」駅下車東へ徒歩約10分
●阪急電車「河原町」駅下車東へ徒歩約10数分
八坂神社の場所
京都市東山区祇園町北側
(京都市のメインストリートの四条通の東の端にあります。)