函谷鉾の前懸は国の重要文化財に指定されているものの復元新調です。

函谷鉾（かんこほこ）

　鉾の名は中国戦国時代（前四〇三～二二一）斉（せい）の孟嘗君（もうしょうくん）が鶏の声によって函谷関を脱出できたという故事にちなんで名付けられている。鉾頭（ほこがしら）の月と山型とは山中の闇をあらわし真木のなかほどの「天王座（てんのうざ）」には孟嘗君、その下に雌雄の鶏をそえている。屋根裏の金地着彩鶏鴉図（きんじちゃくさいけいあず）は今尾景年（いまおけいねん・一八四五～一九二四）の筆、前掛（まえかけ）は、旧約聖書創世記の場面を描いた十六世紀末の毛綴（タペストリ）で重要文化財である。水引は山鹿清華（やまがせいか）作の手織群鶏図（ておりぐんけいず）、胴掛は梅に虎を織り出した李朝製の朝鮮緞通、花文のコーカサス緞通、玉取獅子文中国緞通の三枚継ぎである。見送（みおくり）は古く弘法大師真筆と伝える紺地金泥の金剛界礼懺文（こんごうかいらいさいもん）と天保年間（一八三〇～四四）に河辺延之の模織したものがあるが今は皆川泰蔵作「エジプト天空図」にかえている。この鉾は天明の大火（天明八年一七八八）で焼失、五十年後の天保十年（一八三九）に再興され、それ後、昭憲皇太后（しょうけんこうたいごう）の稚児（ちご）人形を用いている。また、欄縁金具は蓮田修吾郎作の「梅と鶯金銀浮彫」である。
　　　　　　　　　　京都市
上は函谷鉾の山鉾町に掲示されていた京都市の駒札（下の写真）の文を書き写しています。

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