由 緒
明治四十三年八月二十八日指定
天皇神社は、牛頭天王社(ごずてんのうしゃ)と称し、天台宗寺院の鎮守社と伝えられる。祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祀る。
現在の本殿は、隅柱に「正中元年二月三日釿始(ちょうなはじめ)……」(一三二四)の墨書があり、よく鎌倉時代の作風を伝える。形式は三間社(さんげんしゃ)に一間の向拝(こうはい)をつけた屋根切妻造(きりつまづくり)、桧皮葺(ひわだぶき)の本殿。
全国的に切妻造本殿は遺構が少なく、外観の整った優れた建物である。
昭和六十三年三月 滋賀県教育委員会
上は天皇神社に掲示されている説明パネルを一部の字を変えて再録しています。
神社本殿は、全国的に流造(ながれづくり)の遺構が多いが、当町には、当本殿のように切妻造(きりづまづくり)の母屋(もや)に向拝(こうはい)をつけた本殿が3棟あって、全国的にも珍しい。
当本殿は、小野神社職務歴代記に「正中元年二月三日和邇牛頭天皇神社創建釿始(ちょうなはじめ)同年十二月十九日上棟式云々」とあり、暦応4年(1341)建立の道風神社本殿より早くできた建物である。正面中央間と側面の一間を幣軸板扉構(へいじくいたとびらかまえ)とし、内陣平面を一間角とし、屋根勾配が著しく緩いなど道風神社本殿と相違する。
向拝廻りは後世の取替え材が多く形式も改作されたことが考えられるが、蟇股(かえるまた)は、内部の彫刻を失ったものの雄大な輪郭は、建立年代の特徴をよく表している。
平成2年3月 志賀町教育委員会
上は天皇神社の鳥居の横に掲示されている説明パネルを再録しています。
▼SITEMAP▼