下嵯峨街道(現在の三条通)の野宮
斎宮神社(さいぐうじんじゃ)
参拝者や観光客でいつも賑わう嵯峨野の野宮神社や、今は西院春日神社の御旅所となっている西院野宮神社など、京都には齋宮の名残の神社がいくつか残されています。
この齋宮神社も齋王が潔斎するための齋宮の一つです。
観光ガイドブックにはめったに登場しない神社ですが、1955年(昭和30年)末に改築された社殿や白木の鳥居が清潔な雰囲気の神社です。
神社の前を通る三条通(旧下嵯峨街道)は京都市街地と嵐山方面を結ぶ主要道路です。
鳥居の横に巨大な樹木が空に向かって葉を茂らせています。
この辺りは古くから「斎の森(いつきのもり)」と呼ばれていました。このムクノキ(にれ科)はその名残の巨木です。
特に板根が大きく発達した巨木で、神社の前を通る三条通りからもよく見え、歴史ある神社の樹木を代表する巨樹として、地域の人に親しまれているそうです。京都市指定保存樹に指定されています。
斎宮神社の御祭神
天照皇大神(あまてらすおおみかみ)
斎宮神社の例祭 10月17日
斎宮神社の鎮座地
京都市右京区嵯峨野宮ノ元町34番地
斎宮神社への電車とバス
●嵐電(京福電鉄嵐山線)「有栖川」下車
●三条通を走る市バス「有栖川」下車
●三条通を走る京都バス「有栖川」下車
斎宮神社の由緒
斎宮神社(さいぐうじんじゃ)
天照大神を祀る。
「斎宮」とは、伊勢神宮に仕える未婚の皇女または女王の称であり、斎王ともいう。七世紀後半の天武天皇の頃に制度化され、天王の即位に際し選ばれるのが例であり、後醍醐朝以後に廃絶するまで続いた。
選ばれた皇女・女王は、まず宮城内の初斎院で潔斎し、次いで宮城外の浄地を卜(ぼく)して斎所となる野宮を設け、潔斎所をここに移し、川で禊(みそぎ)・祓(はらい)の儀が行われたと伝えられるが、この神社は、こうした野宮の一つ、有栖川禊の旧跡である。
また、斎宮が野宮で三年の間潔斎したのち、伊勢に下向することは群行(ぐんこう)と呼ばれた。
なお、境内にある椋の神木は樹齢数百年で、板根は二メートル近い。また、下嵯峨街道(三条通)にも同じく椋の大木が二本あって、社地の広さを物語っていたが、交通量の激増により昭和三十五年に伐採された。 京都市
上は斎宮神社に掲げられている京都市の駒札由緒書(下写真)を再録しています。
嵯峨野の野宮神社の写真もご覧ください。